『しあわせになるための「福島差別」論』(かもがわ出版)
の装画を描きました。コラムも寄稿しています。
(著者)
池田香代子
開沼博
児玉一八
清水修二
野口邦和
松本春野
安斎育郎
一ノ瀬正樹
大森真
越智小枝
小波秀雄
早野龍五
番場さち子
前田正治
第1章
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福島原発事故はどんな被害をもたらしたか
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第2章
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善意と偏見ー不幸な対立を乗り越えるために
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第3章
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6年たって考える放射能・放射線
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第4章
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被曝による健康被害はあるのかないのか
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第5章
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事故現場のいまとこれから
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福島から避難した子どもたちに対してくり返されるいじめ。
本書は原発事故がもたらした差別と分断を乗り越える道筋を示す。
「(被害者)それぞれの判断を尊重すること」、
「科学的な議論の土俵を共有すること」
が不可欠ではないか。
まわりの人々に求められるのは、福島の人々の「しあわせ」を最優先することではないか。(かもがわ出版)
原発事故後の福島が抱える問題は、とても複雑化しています。
健康被害について、原発の是非について、復興や廃炉の進捗について、認識や意見は様々で、それらについて語るたびに、厳しいジャッジにさらされます。
複雑化した福島ですが、この七年間で、多くのことが明確になってきました。
今まで積み重ねられた福島の事実を基に、文系、理系、医療系の専門家を含む14名が集結し、この一冊の本を作りました。
七年目を迎える原発事故後の福島を考えるときに、本書を手にとっていただけたらうれしいです。
主な編集を担ってくださったのは福島大学名誉教授の清水修二先生です。
清水先生の「はじめに」の中から一部抜粋させていただきます。
人は誰でも自分のレンズを通して世界を見ています。そのレンズが歪んでいないと確信を持って言える人が、どれだけいるでしょうか。それでも私たちは、自分のレンズの歪みをできるだけ正す努力を続けなければなりません。もちろん、本書を執筆する私たちだけがその歪みから自由なわけではありませんが、私たちが基本にしているのは「先入観を排除し事実にもとづいて事柄を扱う」態度です。そのことと「被害者の人権の回復を目指す」こととは、決して矛盾しないはずです。
「お前はどっちの味方だ」と問う人が、なおいるかもしれません。これに対し、私たちは「どっちの味方でもない」とは言いません。そのような問い方そのものを、私たちは是としないのです。