『ふくしまからきた子 そつぎょう』松本猛・松本春野 作/松本春野 絵 (岩崎書店)

今日、2012年2月に出した『ふくしまからきた子』の続編、『ふくしまからきた子 そつぎょう』が岩崎書店から出版されました。

書店でも、ネットでも、購入できるかと思います。
 

取材先の小学校には、本当にお世話になりました。
いつも快く迎えてくださった先生方に、心から感謝しています。

子どもたちと一緒に給食を食べたり、休み時間は一輪車や逆上がりもしました。
廊下に座り込んでお絵かきをして、卒業式の練習では仮の来賓役までつとめさせてもらいました。

3.11からもうすぐ4年

福島を訪れるたび、目の前の子どもたちを一番に考え、見えない放射能について学び、測り、慎重な対策を重ね、暮らしを立て直してきた大人たちの姿に心を打たれました。

そして、その背中を見て立派に成長してきた子どもたちをこの目でしっかり見てきました。

私が取材してきた、福島県に暮らす人達は、精神も状況も2011年のままではありませんでした。

あるお母さんの言葉がわすれられません。

「福島県民とわかると、悲しい顔をしている方が、喜ばれるんです」

たしかにつらいことはたくさんあったし、いまだに続く困難もあります。けれども、あの震災から、必死で学び、考え、測り、対策し続ける日々の中、一歩ずつ前に進むたびに、彼女たちは歓声を上げ、手を叩いて喜び合ってきたということを語ってくれました。

私は『ふくしまからきた子』では、うつむく子どもの顔の方を印象的に描いた気がします。

けれども、『ふくしまからきた子 そつぎょう』では、目に入れても痛くないほどにかわいい、はちきれんばかりの笑顔と、いきいきと生きる子どもたちの姿を描こうと決めました。

原発が憎い気持ちは変わりません。見えない放射能が引き起こす人間関係の分断、風評被害、保障の難しさ、処理や対策へ、気が遠くなるほどの手間と費用がかかることを4年経っても痛感するからです。
多くの家族がいまだ分断されています。生活が戻らないままです。差別に苦しんでいます。
処理の仕方もわからない核廃棄物は貯まる一方。すぐには、難しいのかもしれませんが、原発に頼らない電力にシフトしていってほしいという思いは、取材をしていく中では、募る一方でした。

福島県に暮らす人々の生活の改善を応援し、共に喜び、一緒に進んでいく脱原発運動がひろがっていったら、と心から願っています。
私自身、自分の言葉で、絵本で、声を上げていくことをやめないでいきたいです。

 

『ふくしまからきた子 そつぎょう』をよろしくお願いいたします!

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