みんなのねがい、麦の会

『みんなのねがい』5月号

― はっけよーいのこった!両者一歩もゆずらぬ白熱試合。
キラキラした光の中、新緑の木々が見守る ” 子どもの時間 ” ― (今月のことば)

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神戸の私立中学校の美術教師として働いていた大学の同級生が、
東京都の教員試験に合格し、この4月から八王子市立中学の特別支援学級に配属されました。

新たな土地で、右も左もわからぬ世界に身をおく不安でいっぱいだった彼女の状況を聞き、
何か助けになるような勉強会やネットワークはないかと、私が表紙を描いている『みんなのねがい』の担当編集者に相談しました。

そこで教えてもらったのが埼玉県を中心に活動する「麦の会」
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特別支援学校・学級で教える先生たちの勉強会でした。
私も友人についていき、先日参加させてもらったのですが、
世代を超えて、ベテランから新人まで、出てこられる人がやってくる、という、肩肘張らない勉強会。

驚いたことは、どんなに経験を積んでいたとしても、自分たちがやっていることを常に「正しいんだ」と思い込んでいない、本当に謙虚な先生ばかりということでした。
自分たちの失敗もさらけ出し、明日へきちんとつなげていくという前向きであたたかな雰囲気です。
ああいう場は、本当に人を素直にさせるんだな、と改めて感じました。

ひとりひとりの子どもたちが、彼らにとって最大限幸せに生きる力をつけるためには、どうサポートしていったらいいかを、教員人生をかけて学んでいこう、といった誠実な姿勢に、本当に感動しました。

私が参加した日にレポートを発表した先生は、自身のお子さんも障害を持って生まれてきた一人です。
教員として見てきたことと、障害児の母となって見えてきたことの差異に驚き、反省し、そして学び、みんなに伝える、そんなレポートでした。
障害児の母になってからも仕事を続け、生徒からも生徒のご両親からも絶大なる信頼を受けている先生。
そして、そんな先生自身も、そういったお母さんやお父さん、そして子どもたちを支えにしているんだ、とおっしゃっていたことが印象的でした。

勉強会からの帰り道、友人はこんなことを言いました。

「私が新しい中学で出会った子どもたちは、
親御さんや保育士さん、そして小学校の先生方、そういったすべての方たちが、試行錯誤を重ね、必死で命をつなげ、愛情を注ぎながらできることを少しずつ伸ばしてきた結果の存在なんだよね」

理念がしっかりした私学で美術教育を学んできて、手応えを感じてきた友人。
そんな教育を、お金持ちじゃない子どもたちにも広めたいと、公教育の世界に飛び込んできたのだそう。

彼らの未来への橋わたし、彼女ならきっと誠実にやるんだろうな、

そんな風に感じました。

大学時代の友人のおかげで、私も素晴らしい先生方に出会うことが出来ました。
友人にも、担当編集者の安藤くんにも本当に感謝感謝!の週末でした。