おとうと

5日くらいにブログを書く!と宣言しておきながら、9月中はずっと家で絵を描いていただけだったので、ブログに書くようなことはとくに見あたらず、だらだらと過ごしてしまいました。
が、そんな中、昨日、山田洋次監督の最新作「おとうと」の完成試写会に行ってきたので、ご報告します。
この作品では、題字と、第一弾目のポスターの絵を描かせていただいたり、その後も他の形で絡んでいたりと、とても思い入れの強い山田作品です。
もう、スチールのポスターができあがっていたので、俳優さんたちのお顔のポスター&チラシに変わっていくと思いますが、題字だけは健在です。
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「おとうと」は、とても静かな映画です。
本当に静かで、無駄なもの一切をそぎ落として、監督が描きたかった本質だけがありありと見えるようでした。
だけれども、最後まで大衆映画であって、それは、限られた人々にだけ伝わればいいという閉じられた世界のものでは決してないのです。
監督自身が78年の人生で、少年時代は子どもとして、結婚してからは夫として、子供が生まれれば父親として、家族の一員をいろんな役割で長く経験し、映画監督としては、数え切れない家族を見つめ、描いてきた、そんな中での一つの結論がこの映画なのかな、と感じました。
そして、78年間生きた後に、「おとうと」という一つの結論を導き出した山田監督は、想像以上に優しく、強い人なのだろうな、とも。
わたしは、この時代に、こんなに静かで優しい大衆映画を観ることができて、本当にうれしい。